とうかのブログ

気ままにラノベ、アニメ、漫画等の紹介、感想などを書いていきます

オーバーライト2 感想 ネタバレあり

どうも、とうかです。今回はオーバーライトの2巻を読み終えたのでそちらの感想を書いていきたいと思います。

 

今回もネタバレありで感想を書いていくので、まだ未読という方はご注意ください。

 

 

 

オーバーライト2──クリスマス・ウォーズの炎(著者:池田明季哉 イラスト:みれあ)

 

 

 

 

ではいきますね。

 

 

この作品はグラフィティというアートを扱った作品でイギリスを舞台にして物語が繰り広げられています。

前回の巻では市議会によりグラフィティが弾圧されそうになっていましたが、今回は音楽VSグラフィティという構造で物語が進んでいきます。

主人公のヨシが音楽をやっていたことは前回の巻を読んで分かる通りで、2巻ではヨシが音楽から離れることになったきっかけであるネリナがイギリスに来ることで物語が始まります。

 

 

 

一言でいえば今回はヨシが殻を破る回になったといえると思います。ヨシの音楽には魂がない。この意味について、ネリナやガブリエルとの関わりを通してヨシ自身が考え向き合う様子がとても丁寧に描かれていました。

物語の終盤まではヨシの弱さがよく表現されていて、自分で選択せずネリナになされるがままにされる様子が描かれて印象。

正直読んでいてすごくもどかしく、頑張ってくれと何度も思わされる展開が続くわけですが、この展開があるからこそヨシの悩みの大きさが伝わってきたのかなと思います。

 

そしてヨシの踏み出せない態度が続いていたからこそ、終盤のヨシの演奏は盛り上がるものがあったと思います。

本番のときまでヨシはずっと丁寧に音を奏でることだけを行っていて、そこに自分の表現はありませんでした。そんな彼が大きく一歩を踏み出し自分の伝えたい思いを音楽に乗せることができたのは胸が熱くなりました。

 

 

 

また1巻の時にも大きく活躍を見せたララが今回もすごい良かった。

ヨシとブーディシアは弱い側面が表に出てくる描写が多いのですが、ララに関しては弱さが見えてもそれを覆い隠してしまうほどの気丈なふるまいでグラフィティのために戦う姿が描かれていて2人よりも強く大人な印象を受けます。

この物語の根幹にあるアートに書ける熱意を毎回見せてくれ、ララの言葉にはとても心が動かされます。ガブリエルに一歩も引かないところもかっこよかった!

 

 

 

他にも今回はブーディシアとネリナの会合によりヨシをめぐる争いが繰り広げられていましたね。

ネリナは序盤はかなり嫌なキャラに見えていたけど、彼女なりの音楽にかける熱意を知ると憎めないキャラに思えます。完ぺきなシンガーに見えても、本質はやっぱり少女で。

ブーディシアとネリナが互いにアーティストとして尊重しあえていたのもよかったなと。

 

 

 

全体としては面白かったんですが、ガブリエルの改心のはやさがちょっとどうかなと感じました。祖母のことでグラフィティを憎んでいたことはわかるんですが、生のグラフィティて芸術と受け入れることができる柔軟性があるなら排斥運動に力を入れなくてもよかったのではと思ってしまいました。

個人的には音楽とグラフィティの対立関係で物語を進めるならもう少しこの部分を深く掘り下げてほしかったなと思いました。

 

なにはともあれ今回もひと段落つきブリストルに安泰が戻り物語としてかなりまとまった終わりかたをしたのですが、今後続くならどういった物語の展開になるか気になりますね。続刊がでたら引き続き購入していこうかなと思います。