とうかのブログ

気ままにラノベ、アニメ、漫画等の紹介、感想などを書いていきます

オーバーライト 感想 ネタバレあり

 どうも、とうかです。今回は買えていたけどなかなか読めていなかったオーバーライトについて感想を書いていきたいと思います。

 今回も内容の方に触れながら書いていくのでまだ未読という方はご注意ください。

 

 

 

 

オーバーライトーブリストルのゴースト(著者:池田明季哉 イラスト:みれあ)

 

 

 

 

 

 

 

 それでは感想のほう書いていきますね。

 

 

 

 

 

 オーバーライトはグラフィティというアートを扱った作品で、舞台イギリスになったいます。主人公は日本人の留学生で、バイト先にグラフィティが描かれたことをきっかけとして物語が動き始めます。

 

 この物語ではグラフィティをかく「ライター」たちの情熱や心情に焦点が当てられていて、アーティストならではの体から沸き起こるような熱が感じられる作品になっていたように思います。主人公のヨシもライターとは少し違うけど、作曲をしたことがありかつバンド経験者ということで同じアーティストとしてライターたちに影響をうけていました。

 

 

 

 

 個人的に印象に残っている場面はララがライターたちに向けて演説しているところです。彼女はベアー・ピットの浄化を行おうとしている市議会に抵抗するために、ブリストルのライター全員を集めて彼女の思いを語ります。自分たちがこの街の文化を築いてきたこと。それがいまその文化を理解もしようとしない市議会に脅かされていること。アイオンというライターが立ち上がり自分達に希望をくれたこと。

 

 彼女が語った思いというものは1人のアーティストとしてグラフィティという受け継がれてきた文化を大切に思うものであり、一言一言に読んでいるこちらまで熱量が伝播するのではないかというくらい魂がこもっていました。

 

 自分自身なにかに人生を賭けて打ち込んだ経験はないけれど、それでも彼女の言葉には強く心を動かされたしほんとうにかっこいいと思わされました。

 

 

 

 

 またオーバーライトのヒロインでもあるブーディシアなんですが、彼女の葛藤も丁寧に描かれていた印象です。ブーは元ライターであり、しかもブリストルのゴーストと呼ばれる有名人でした。ヨシと出会ったときにはすでにグラフィティから離れていて、それを乗り越えるための物語でもありました。

 

 彼女はグラフィティを書く中で恨みをかい大切な右腕を刺されてしまったという過去があり、それが原因でライターを辞めていたようです。アートの世界にいたのにも関わらず投げ出してしまったという点でヨシと気持ちを理解し合える関係になっていました。

 

 2人の互いに支え合う関係は美しいものがあり、何かになるために足掻く2人はとてもかっこよく思えます。

 

 

 

 

 電撃小説大賞選考委員奨励賞ということもあり、発売から話題になっていたこの作品ですが、評判に違わずたいへん面白い作品でした。グラフィティにかけるキャラたちの想いがほんとうに心に響き、読み途中には何度も心を震わせてくれました。

 

 2巻のほうも買ってあるので、時間が出来次第読んでいきたいと思います。