とうかのブログ

気ままにラノベ、アニメ、漫画等の紹介、感想などを書いていきます

ホラー女優が天才子役に転生しました2 感想 ネタバレあり

前回に引き続き「ホラー女優が天才子役に転生しました」の2巻を読み終えたのでそちらの感想を書いていきます。

 

ネタバレありで感想を書いていくので、まだ未読というかたはご注意ください。

 

 

 

ホラー女優が天才子役に転生しました~今度こそハリウッドを目指します!~(著者:鉄箱 イラスト:きのこ姫)

 

 

 

 

 

 

それではいきますね。

 

 

空星つぐみとして子役仲間たちと触れ合うなかで様々な問題が浮かび上がってくる。珠里阿が抱える家の問題。美海が抱くつぐみへの嫉妬の感情。またつぐみはつぐみで友達との友情、そして家族から受ける愛情に触れ合うなかで桐王鶫と空星つぐみの人格の境界があいまいになっていき……

 

 

2巻は前回の巻では深く掘り下げられなかった子どもたちの抱える問題が一気に解決される巻となりました。

悪い役に頑なな拒絶反応を見せる珠里阿の母親の真相。それはかつてサラとして悪役の女優として売れてしまったために桐王鶫にとらわれ家庭でも問題が起こったという不遇な過去がありました。

ここら辺は演技の世界を経験したことがある人ならかなり共感できる問題だったのですかね。親として珠里阿の将来を心配するあまり本当に子どものことを見ることができなくなっていた。互いを思う気もちは同じなのにすれ違う親子は見ていてじれったく、だからこそその後の2人はほほえましいものがありました。

 

そしてこのシーンでつぐみが見せた演技。役に入り込み狂気的な行動をとるつぐみには鳥肌。その場の空気感が本を超えて伝わってくるようでその丁寧な描き方はさすがの一言。

 

 

また美海の話では自分より才能がある人に向ける嫉妬の感情。そして友達に対してほの暗い感情を抱く自分に対する嫌気。友達を奪われたような寂しさ。いろんな感情が渦巻き思い悩む美海の心情をしっかりと描いてくれていました。

この作品は主人公はもちろん星天つぐみなんですが、つぐみに関わる人達の心情も丁寧に描いてくれているのが魅力の一つかなと思います。周りのキャラにも感情移入させてくれるからこそつぐみの魅力もより一層輝いているような気がします。

 

そして美海のエピソードで強調されていたのがつぐみと鶫。今回の巻は冒頭では今まで通り「私」。けれども徐々に「わたし」と一人称が変化していったんですよね。

つぐみとして生きていく中で周りの愛を受け入れていく中で今までしまい込んでいた「つぐみ」の人格が徐々に出てき始め二人の境界があいまいになっていく様子が描かれていました。

美海を救うため再び鶫としての意識がつよくなって今回は終わりましたが、凛が気にするように本来の人格であるつぐみは苦しんでいるとしたら。

今までタイトルの「転生」という言葉に引っ張られ、元のつぐみとしての人格はなくなってしまっていると思っていたので、この展開は予想外のもので面白かったですね。

星空つぐみの本来の人格が望むことは何なのか。この辺りは今後の展開に期待ですね。

 

 

 

今回は鶫とかつて関わってきた人たちの動きも描かれていました。桜花に閏宇、そして最後の男。全員が全員桐王鶫に妄執を抱き歪な愛を向け続けているように思えます。それほどまでに彼女の存在は大きかったのでしょうか。

桜花は凛に対して接触し演技の才能を開花させよう稽古をつけ始め、最後の男もCM対決に一枚嚙んでいたりと怪しい動きが増えてきました。

今後子どもたちを巻き込んで繰り広げられる桐王鶫の後継者争いが裏で行われそうで怖いですね……鶫に異常な執念を見せている人たちは子どものことを考えてなさそうで不安になります……

 

また途中で出てきたよーちゅーばーのツナギ。つぐみが見て感じた謎の既視感。そして凛がいったつぐみに似ているという発言。子供ながらにつぐみと同じく落ち着いて計算された話し方をするツナギは明らかに何かある存在っぽいですよね。

鶫以外にも転生者がいたりするのかな?

 

 

つぐみの周りを引き込み自分の世界を作り出す才能。そしてその演技にあてられることで成長していく周り。演技のことはよくわからない自分でもなぜか自然と引き込まれるような感覚がこの作品の自分が好きなところです。

今後は鶫とつぐみ。その両方に影響を受け周りがどんどんと動いてくると思うので、何が起こるかわかないドキドキ感を胸に楽しみに続きの巻を待っていたいと思います。

 

 

それでは今回はこの辺で。最後まで読んでくれたかたありがとうございます。

 

ホラー女優が天才子役に転生しました1 感想 ネタバレあり

今回はガガガ文庫から刊行されている「ホラー女優が天才子役に転生しました」の第1巻を読み終えたのでそちらの感想書いていきます。

 

ネタバレありで感想を書いていくので、まだ未読の方はご注意ください。

 

 

 

ホラー女優が天才子役に転生しました~今度こそハリウッドを目指します!~(著者:鉄箱 イラスト:きのこ姫)

 

 

 

 

 

 

それではいきますね。

 

幼いころから貧乏で家庭環境も悪かった桐王鶫は演技の才を磨き30歳にして見た人を恐怖に陥れるホラー女優として活躍していた。そんな鶫はある日現場の帰り道に交通事故に巻き込まれ、次に目を覚ますと銀髪ハーフの5歳の幼女に転生してしまう。

時代は20年後。家庭は裕福でかつてにはなかった環境。転生して空星つぐみとなった彼女は親の応援もあり、再び演技の世界で生きていくことを決意する。

圧倒的な演技の才能を秘めた一人の幼女が繰り広げる物語。

 

 

全体的にすごく読みやすい作品でした。ラノベで転生といえば異世界に行くことが多いんですが、この作品で主人公の鶫が転生したのは同じ世界線の一人の少女の体。

世界線が同じってなかなか見なくて新鮮な設定だなと思いました。しかも20年の空白が開いてるためかつての関わっていた人たちの立場は変わってしまっているんですよね。

設定的にはタイムリープものの反対っていうとしっくりくるかなって思います。

 

 

今のところ描かれていたのは天才子役星空つぐみの姿。5歳にしてかつてホラー女優として名を馳せていた鶫の技能を受け継ぎ子役とは思えない演技をして周りを驚かせる。つぐみが演技をしている描写はかなり丁寧に描かれていてその空気感が伝わってきたように感じます。この作品はいろんな人の視点での語りが入れられていて、そのとき周りがどのような気持ちになっていたかを描いてくれているのもよかったです。

一人の天才子役に周りが刺激を受けて空気が変わる。この緊張感が本当に上手に描かれていたと思います。

 

この先の展開ではどのような展開を描いてくるのかが楽しみですね。1巻の流れでつぐみの圧倒的実力を描いていくのか、はたまたつぐみが演技の道で生きていくうえで何度も壁にぶち当たり苦悩しそれでも前に進んでいくところが描かれるのか。

1巻でもつぐみの様子が少し気になるところもあり今後は苦悩を描く展開のほうが可能性があるかな?

またつぐみ以外のキャラたち。つぐみの両親をはじめとして、使用人の小春さんや春名さん、子役仲間の子たちやその親。みんなまだまだ謎な部分も多くありそこら辺のキャラの掘り下げにも期待したいですね。

 

 

最後には闇落ちしかけた美海ちゃんが描かれていて、つぐみという天才の影響でどのように物語が進んでいくのか。2巻も読んでいこうと思います。

 

それでは今回は短いですがこの辺で。読んで下さったかたありがとうございました。

 

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。14.5 感想 ネタバレあり

今回は4月に刊行された俺ガイルの14.5巻の感想を書いていきます。

俺ガイルは14巻にて堂々の完結を迎えもう続きが読むことができないと思っていたのに、Blu-ray特典の俺ガイル新であったりこの14.5巻だったりが発売されて本当にうれしいですね。

 

 

今回もネタバレありで感想を書いていくので、まだ未読という方はご注意ください。

 

 

 

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。14.5(著者:渡航 イラスト:ぽんかん⑧)

 

 

 

 

 

それではいきますね。

 

 

14.5巻には単行本未収録のSSや八幡たちが3年生になった姿を描く完全書下ろしエピソードが入っておりファンにとって最高の一冊だったと思います。

特に今回の一冊ではメインで登場するキャラが由比ヶ浜と雪乃下ではなく、いろはすと小町でこのコンビ好きにはたまらないものとなっていたと思います。

 

 

まずは未収録SSについて。こちらのSSはなんと俺ガイルのBlu-rayアンコールプレス特典のものでまさかの豪華さに正直驚きました。

 

内容は最終巻からときがさかのぼり正月の比企谷家での一幕。小町の”義姉ちゃん”は誰になるかと話を進めていく二人の様子を描いてくれたものとなっています。

俺ガイルという作品の中でも数々の笑いと涙をくれたこの二人のエピソードはやっぱり最高でしたね。相変わらずの兄弟愛で見ててほほえましい。

 

 

そして次に描かれていたのが俺ガイルFesの朗読劇のリメイク版。読んでいるとイベントの思い出がよみがえってきてなんともエモい感じになりました。俺ガイルらしい軽快なテンポで紡がれる会話劇にはやはり笑かされますね。

 

 

続いてがいろはすとのコラボSS。これはもともと読んでいた方も多いのではないでしょうかね。小悪魔後輩いろはすの誕生日に飲料水いろはすとコラボをしその時に描かれたショートストーリ。これについては多くは語りません。やはりいろはすは最強です。

 

 

最後に描かれていたのが新規ストーリでしたね。

これは八幡たちが3年生になってひと月ほどたったころの話。

小町がつなぎとめてくれた奉仕部。八幡と小町が二人で部室にいると想像されるのは八幡たちが卒業したあとの未来。そこで連想されるのはかつて八幡が初めて奉仕部に訪れたときにみた一人の気高く美しい生徒の姿で。

 

奉仕部の今後についてを描いてくれたこのエピソードは少し切なくそれでも最後には温かい最高のストーリーだったと思います。

俺ガイルならではの時事ネタをこれでもかと盛り込んだ文章。最強の妹×最強の後輩コンビの会話劇。八幡と雪乃下のいちゃいちゃパート。そして最後には彼らの奉仕部への思い。

めちゃくちゃに笑かせてもらいましたし、きゅんきゅんさせられ、最後のほうはグッとくるところもあって最高としか言えません。八幡をはじめその他のメンバーもきっと、めんどくさく何度も間違え作り上げた今の奉仕部を大切に思っていたからこそそれが崩れた先の未来に悲観的になってしまう。彼らが紡いできた物語を見守ってきたからこそこの寂しさっていうのは痛いほど伝わってきてかなりグッときましたね。

それでも由比ヶ浜や雪乃下がいったように、いつかその先の未来でも小町のもとにもかけがえのない友人、もしかしたら恋人ができて再び美しいほどの青春を送ってくれるかもしれません。正直由比ヶ浜の微笑にはいろはすと同じく泣きそうになりました。ガハマさん最高です。

いろはすいろはすお米ちゃんのことをなんだかんだ心配しいつも隣にいてあげてるのがいいですね。八幡たちがいなくなった寂しさも二人で乗り越えてくれるでしょう。

 

 

この先彼らが卒業をし奉仕部という部活がなくなってしまっても、今まで歩んできたかけがえのない思い出はしっかりと彼らそして読者の人たちにも刻まれていて忘れることはないでしょう。

俺ガイルという作品は完結を迎えてもなおまだいろいろとやってくれそうなので楽しみですね。大好きな作品をこれから先も応援し続けたいと思います。

 

 

それでは今回はこの辺で。最後までご覧いただきありがとうございました。

 

 

 

千歳くんはラムネ瓶のなか5 感想 ネタバレあり

今回は昨日の4月20日ガガガ文庫から刊行されたチラムネの5巻の感想を書いていきたいと思います。

 

感想はネタバレありで書いていくので、まだ未読というかたはご注意ください。

 

 

 

千歳くんはラムネ瓶のなか5(著者:裕夢 イラスト:raemz)

 

 

 

 

 

 

今回の巻は様々な出来事があった1学期を終え、迎える高校2年の夏の一幕を描いたものとなっていました。花火大会に藤志高伝統の夏の勉強合宿、通称”夏勉”。夏のイベントにふさわしい内容をチーム千歳のメンバーみんなで過ごす。まるで高校2年の夏という2度と訪れることのない時間を大切に心の中に刻み込むように。

 

 

読み始めてすぐに感じる「ああ。チラムネの世界だ」という感覚はさすがの一言。

4巻の発売から約半年たっているのにも関わらず、まるでその期間も朔たちの世界は当たり前のように時間が流れそこでみんなが生きているような感じ。そんな風に感じさせられるほど文章からチラムネという世界観を感じさせられました。

 

この作品は独特の擬音表現と比喩が特徴的だと個人的には思っていて、詩的にも感じられる言い回しがこの「チラムネ」という作品の世界を作り出しているのかなと思います。

 

 

そんな今回の5巻なんですがいつもと描かれ方が違っていたんですよね。いつもは基本的には朔からの視点で物語が進んでいくことが多かったんですが、今回はヒロインたちと朔の視点で交互に物語が進んでいました。ヒロインたちが朔に対して抱く好きの気持ち。そしてそれに対応するように描かれる朔視点からのヒロインたちに対する思い。

鳥肌が立ったのは恋愛的な意味があるかどうかは別として、朔のそれぞれに抱く気持ちがそれぞれのヒロインと全く一緒だったこと。そしてそれを表現するために全く同じことばで締めくくる描きかた。その言葉にこれまでの巻で描かれた「特別」な思い出が詰まっていて。個人的に刺さったポイントでしたね。

 

 

そしてそして。今回ずっと描かれていたのが”二度と戻ることができない日々”についてです。朔も夕湖も。そしてそれ以外のメンバーも”今”の関係がいつまでも続くとは思っていない。必ずどこかで終わってしまうもので、もし来年も同じメンバーが集まったとしてもその関係まで一緒ということは決してありえない。

例えば明日姉と朔の関係。来年になれば明日姉が東京に行き朔とはほとんど交わることのない時間を過ごしてしまう。

例えば陽と朔の関係。告白をなかったことにして前のような関係に戻ることができたかもしれないけど、それでも自分を見てほしい。恋愛対象として朔と関係を続けたいと願った。

例えば夕湖と朔の関係。周りから正妻と言われ最も朔のそばにいることができた。けれども朔にとっての1番になるためにまっすぐに思いをぶつけた。

 

これまでの出来事を経て確実に変わってしまった居心地がよかった関係。朔自身もいつか向き合う必要があると分かっていたけどつい目をそらしていた事実。

夕湖は自分が告白することでこの関係が崩れると分かっていても、それでも勇気を出して思いを伝えることを選んだんですよね。きっと朔が断ると分かっていても。

 

高校という夏のイベントが描かれているのに常に感じるセンチメンタルな空気感。それぞれが自分の思いを引っ込めたり吐き出したり。笑顔で楽しく過ごすのと同じくらい誰かに対する思いに悩み葛藤し、ときには諦めたりしてると思うとまさに青春。4巻が”心が熱くなるような青春”なら5巻で描かれたのは”心が締め付けられるような青春”。

 

この作品に高校生のときに出会えていたらと思う反面、高校というもう2度とやってこない時間を理解しているからこそ、この作品の美しすぎる青春が心に刺さってくるのかなとも思います。

 

 

夕湖の告白から海人の朔への思いの吐露。朔の状況に対してほとんどの面々が見てることしかできなかった。たった一人を除いて。

まさかまさかの展開に鳥肌が止まらなかったです。

今回それぞれのヒロインが朔に振り向いてもらうためにいろいろとしていたんですけど、優空だけはいつもと変わらずただ朔を見守り続けていました。むしろ朔だけでなくほかのメンバーにさえ寛大にただ見守っている印象で、ある意味最強のヒロインでもあったわけですが。

そんな優空が唯一、夕湖を振った朔を周りを気にせずに追いかけてきた。誰よりも朔の隣でいるために。何かを選ぶときは自分が一番大切なものを優先する。かつて体育館でかわした誰よりも隣でいるという約束を体現するように。

最後のサックスを奏でる優空はどこまでも心優しくそして強さがあり。そんな様子を表現するイラストにも感動させられます。ほんと最高の引きです。

 

 

長々と書いてしましましたが、やっぱり裕夢先生は高校生のうちの輝かしい青春模様を描くのがうますぎる。キャラたちが抽象的な言葉で語る思いは何とも言えない切なさがあって。眩しくきれいなだけじゃない、すこしだけほろ苦い青春がたまらなく好きです。

間違いなくターニングポイントとなる今回の巻。次の巻ではどんな話が描かれるのか。余韻に浸りながら楽しみに待っていたいと思います。

 

 

それでは最後まで読んで下さったかた、ありがとうございます。

 

声優ラジオのウラオモテ4 感想 ネタバレあり

どうも、久しぶりです。今回はなかなか読めていなかった声優ラジオのウラオモテの第4巻に手をつけることができたのでそちらの感想を書いていきたいと思います。

 

ネタバレありで感想を書いていくので、まだ未読というかたはご注意ください。

 

 

声優ラジオのウラオモテ♯04夕陽とやすみは力になりたい?(著者:二月公 イラスト:さばみぞれ

 

 

 

 

・あらすじ

幻影機兵ファントムの収録を終え声優として大きく成長したやすみと夕陽。

そんな二人のもとに訪れたのはラジオ存続の危機。ラジオでのやり取りを本気のように思うファンが心配を寄せるようになってしまい.......

それと時を同じくして二人になじみ深い先輩声優の桜並木乙女に異変が。

若き声優二人が声優界で悩みもがき挑んでいく。

 

 

はい。今回は乙女回になりましたね。

今まで頼りになる先輩としてあり続けた乙女が見せる弱さ。業界の中でも人気を誇る彼女が何に悩みどんな思いで声優として走り続けていたのか。そんな声優界の輝かしい部分だけではない苦労や挫折。そして厳しさを描いてくれていた巻になっていました。

またシリアスパート以外でも面白いところ、甘々な展開がいくつかあったのでそちらについても順を追って書いていきますね。

 

 

最初に訪れたのはラジオ存続の危機。

二人が収録で言い合いをしすぎるあまりファンから心配の声が寄せられるようになったとのこと。今のままではこのラジオは終わってしまう可能性が高い。そんな状況を打開するために行われたのがロケ番組。

 

読者からすると何をいまさらというような展開(笑)

二人が互いに向ける感情が並々ならぬものなのはみんな分かっていて、それでもうまく言葉にできず意地を張ってしまい、二人でもじもじしてしまう。ほんとにほほえましい(笑)夕陽が隠し撮りで語ったやすみへの思い、そしてそれへのアンサーとして書かれたやすみの手紙。わかってはいたけどああやって文字で読むとやっぱりグッとくる。めっちゃ青春って感じでたまらないですね。

 

またロケ番組で一緒になっためくると花火。めくるはいつもながらにツンとしてはいるけど本当に心配してくれている優しい先輩であり、同時にファンの一人でもあり。そして今回初登場になるのかな?花火もすごい優しい人で好きになりました。

めくるが唯一心を許している相手で二人の距離感が尊い。完成されたコンビ感がすごくよかったですね。

今後もどんどん出番が増えることを期待したい。

 

 

続いて乙女についても書いていきますね。

前々から危うさを感じる彼女でしたが、ついに今まで保っていた糸が切れてしまいましたね。人気声優として様々な仕事をこなし最前線で戦ってきた彼女が抱えていた恐怖。かつてライバルとして一緒に切磋琢磨していた相手が一度の休養により業界から姿を消してしまっていたことが関係していました。

生放送で倒れてしまってからの乙女の狼狽っぷりは心苦しくなりましたね.......

いつもは余裕そうな人の動揺は見てるこちら側もハラハラしてしまいますよね。

 

そんな彼女のために力を貸すべく、今回もやすみと夕陽が奔走しかつて声優として名を馳せていた秋空にあい、乙女を助けてあげるように話にいくわけですが。

正直高校生の若さゆえのまっすぐな行動は危なっかしすぎてみてられない(汗)やすみのまっすぐな気持ちはほんとに眩しすぎて。自分も年をとったかな(笑)

 

秋空がやすみに問いかけた質問も残酷ですよね。

追いかける側の人間が追いつかないところで挫折をしたときに声をかけることができるのか。一度は逃げ出した自分が頑張ってきた人にかけることって相当難しいですよね。まず間違いなく目をそらしてしまう。

そんな状況でもやすみは、それでも忘れたくない。見ないふりはできないと自分なりに答えを見つけていました。この子ほんとに強い。そしてそれだけ夕陽の存在の大きさを感じることもできてますます二人の関係が気高く美しいと思うようになりました。

 

 

紆余曲折を経てやすみと夕陽は秋空を乙女に引き合わせることができました。

彼女たちが何を語ったかは描かれませんでしたが、それでも二人だけの思いがありそれをぶつけ合えたからこその乙女の笑顔でのライブだったんでしょうね。

あの場面の挿絵の迫力がほんとにすごかった。絵が目に飛び込んできた瞬間にライブの会場にいるかのような錯覚をするほど鳥肌が立ちました。ほんとに神なイラストですよ。

 

 

今回は前半の2人のあまあまな展開から乙女のシリアスなパートと緩急があり面白かったと思います。

自分が楽しんでいるコンテンツを作るクリエイターたちの世界で眩しいだけの光ではなく、それまでの苦悩や葛藤、そして挫折などがあると思うと感慨深いです。またそういう風に思わせてくれるこの作品もやっぱりすごいなと。

 

この先声優ラジオはどのような展開で進んでいくのか気になります。最終目標として描かれるのはどのようなストーリーなのか。引き続きこの作品を楽しみ、応援していきたいと思います。

 

 

それでは今回はこの辺で。最後まで読んで下さったかたありがとうございました。

 

 

 

 

いつか僕らが消えても、この物語が先輩の本棚にあったなら 感想 ネタバレあり

今回はMF文庫から以前刊行された作品「いつか僕らが消えても、この物語が先輩の本棚にあったなら」を読み終えたのでそちらの感想を書いていきたいと思います。

 

ネタバレありで感想を書いていくので、まだ未読というかたはご注意ください。

 

 

いつか僕らが消えても、この物語が先輩の本棚にあったなら(著者:永菜葉一 イラスト:なび)

 

 

 

 

 

それではいきますね。

 

 

家庭環境に恵まれず妹を守るために中学生ながらにアルバイトを繰り返す日々を送る少年海人。かたや好きなことをする時間もお金もあり周りとも友好的な関係を築くことができていた少年浩太。

何も持たない少年とすべてを与えられていた少年。そんな二人が物語を愛し物語に生きる一人の少女、神楽坂朱音と出会い小説家という道に生きる物語。

 

 

まず率直な感想から。

面白い!

この作品は対極な境遇の2人の少年が少女との出会いをきっかけに小説家を目指し努力するクリエイターものの作品です。クリエイターものならではの創作にかける熱量はもちろんのこと、その過程で訪れる苦悩や葛藤というものを描いていてくれてすごく心揺さぶられました。またこの作品の特徴ともいえるW主人公。二人の正反対な境遇が二人の作品に宿る魂の核をなしているようでどちらともに共感でき違った生きざまにかっこよさがありました。

またこの作品はエピローグから物語が始まりそこで開示されるのが二人の少年が小説家を目指し片方は筆を折ってしまったという結末。このエピローグは全部で3度描かれるんですが最後までどちらが小説家になることができたのかを分からせないように描かれていて面白いなと思いました。

 

 

では細かいところについても書いていきますね。

 

上にも書いたようにこの作品は冒頭で一人は小説家になれなかったと断言されているんです。つまり今から繰り広げられる若きクリエイターたちが全力で向き合う物語の末、夢を実現できるのは一人しかいないってことなんですよね。

だからこそ寂寥感があふれているというか薄暗い世界観というか、決して甘い世界ではないということを読者は理解したうえで読み進めていくことになるんですよね。

 

でもこれこそがクリエイターものの本質で、これがあるからこそ夢に向かってあがき苦しむ彼らの姿がより美しく見えたのかもしれないのかなと思います。

ラノベ作家さん自らがラノベ作家ものを書くとこういった生々しい現実がよりリアルに感じられその登場人物たちが抱く感情がとてもじゃないけれどフィクションのものには思えなくなる。だからこそキャラクターの一言一言が心に刺さるし物語に引き込まれるのかなと思います。

 

 

主人公の一人海人は何も持たないからこそ小説に魅了された一人。彼のおかれた環境は本当につらく冒頭からめちゃくちゃ心えぐってくる.......

だからこそ朱音との出会いから変わっていく海人にはすごく応援したい気持ちになりましたね。小説に必死に向き合い、どうしようもない感情を小説にぶつける。そんなやり場のない感情を昇華し生きる彼には励まされました。

 

後半に父親が澪に暴力をふるったことにより筆を折った展開はほんとつらかった。何も持たず小説しか書けなかった彼が、小説からも離れなければならない。逆に朱音の本当の気持ちに築くことができなかった浩太はまだ夢を目指す権利がある。

同じ夢を見た二人の運命がこんな不条理により翻弄されてしまうのが心にきました。

 

浩太の激励によりまた再び筆を執り前を向くシーンはグッときましたね。正直海人と浩太では海人に感情移入しすぎて浩太にあまり好感をもててなかったのですが、彼のまぶしすぎるまっすぐな言葉は心に響きました。

夢を目指し競い合ったライバル。そしてそんな二人の別れ。小説を書くという意味では同じだけれど違う道を歩むことを決意した二人。

最後の託したという言葉はジーンときて胸が熱くなりました。

何も持たない少年がたどりついた道。それは最初とは異なるものだったけれども前向きな一歩ですごくよかった。

 

 

そんなこんなで浩太がプロになった作家。と思いきやまさかのエピローグに出てきていたのは海人のほうでしたね。

カクヨムに投稿していた作品を編集に見つけられ大逆転。逆に浩太のほうは芽が出ることなく終わってしまった.......

と思われたときの浩太の登場。

王道の展開ではあるけれどもそれでもやっぱり熱い。一度は筆を折り小説から離れたけれどもライバルに火をつけられてまた再びこの戦場に挑む決意をした。

ヒロインとして登場した朱音との関係もよかったけれど、浩太と海人のライバル関係が個人的には刺さった。対極な二人だからこそお互いの持つものに嫉妬し、時には勝てないことを悟り。それでも最後に心に火をつけてくれるのはライバルの存在で。

まさにクリエイターものの熱さここにありって感じでした。

 

 

 

この作品の最後に綴られた一文。「あなたに届けと願って、今日もどこかで紡がれている。」

この言葉はきっとこの作品を読んだ読者に投げられたものなんでしょうね。作品を通し二人の苦悩や葛藤、そしてそれでも前を向く姿勢。同じく何かを志す人を激励するような素敵な一文だったと思います。

またこの作品は本を読む人なら絶対に何かを感じ取ることができるそんな素晴らしい作品でした。

 

 

それでは今回は今辺で。最後まで読んで下さった方ありがとうございました。

友達の妹が俺にだけウザい7 感想 ネタバレあり

どうもお久しぶりです。今回は3月にGA文庫から刊行されたいもウザの7巻を読み終えたのでそちらの感想を書いていきたいと思います。

 

ネタバレありで感想を書いていくので、まだ未読というかたはご注意ください。

 

 

友達の妹が俺にだけウザい7(著者:三河ごーすと イラスト:トマリ)

 

 

友達の妹が俺にだけウザい7 (GA文庫)

友達の妹が俺にだけウザい7 (GA文庫)

 

 

 

 

それではいきますね。

 

 

アニメ化も決まりますます盛り上がっているいもウザですが原作7巻ではまさかの彩羽と真白の母親乱入。

真白と彩羽がアキに対する思いを打ち明けいよいよ正々堂々のヒロインレースが開幕すると思いきやW親の登場によりかき乱される5階同盟の面々。

それと時を同じくして修学旅行の準備とイラスト制作による過労で紫式部こと菫先生が倒れてしまい.......

果たしてアキは天才たちとどう向き合うのか。

 

 

前回が文化祭編ということでヒロインたちの動きが活発になり始めたので、今回はバチバチのヒロインレースが見られると思いましたがラブコメ展開はいったんお預け。

むしろ真白や彩羽よりも親の存在感がすごい。今回の巻だけでいえば間違いなくヒロイン二人はW母親でしたね(笑)

 

 

黒山羊が200万ダウンロードを達成しその勢いで300万を狙いたい5階同盟でしたが、ここで少数精鋭でやってきた弊害が発生します。

菫先生が教師として生徒のため、そしてなにより真白やアキ、オズをはじめとした仲間たちであり教え子のために修学旅行でも思い出を作れるように学校のことにも力を入れたあまり体を壊してしまいます。

 

アキはプロデューサーとしてゲームの勢いを優先し菫先生に頼ってしまったことを反省し自分のやり方に疑問を抱くことになります。

 

そしてそこで投げかけられる乙羽さんの言葉。大企業を導いてきた人からの5階同盟の在り方の歪さの指摘。

 

 

こういったクリエイターとしての考え方を作家さんが描いていると思うと感慨深いですよね。フィクションとはわかっていてもこの世界の厳しさが垣間見れるっていうか。

消費者にはわからないような苦労があると思うと作品一つ一つの重みが変わるような気がします。

 

今回描かれたアキの考えと乙羽さんの考え。どちらが正しいと断言できないんですよね。確かにアキのやり方はかっこいいと思うし夢があると感じられるんです。けれども実際には乙羽さんのやり方が必要な場面が多く。

アキは天才たちを輝かせるために。乙羽さんは天才ではない凡人たちを輝かせるために。互いに大切にしてるものが違うからこそ、プロデューサーとしての価値観が致命的に合わない。ほんとに難しい問題だと思わされますね。

 

乙羽さんも過去にはアキと同じようなやり方をして失敗した過去がありそう。社会の荒波にもまれてあきらめざる負えなかった乙羽さんを今後アキがどのように説得していくのか。

 

 

また乙羽さんだけでなく海月さんも大活躍でしたね。

乙羽との会話によりアキが悩んでいるときに背中を押してくれたのが海月さん。

彼女は才能を武器に一人で戦ってきて成功した人物。自分は自分のやりたいようにやってきて幸せをつかみ取ることに成功した。だからこそアキが自分の思い通りにやることを優先してくれていました。

それにしてもアキの背中を押すために明らかになった月ノ森社長とのエピソードが強すぎました。まさかファミレスアルバイトが海月さんとは(笑)

かなり曲がった愛情過ぎて.......

 

 

 

海月さんのアドバイスもありアキがここで大きな決断を下しましたね。

今まで全力で駆け抜けてきた黒山羊の更新を一時停止。ソシャゲ界ではリリース停止はかなりの痛手。それでも無理をして体を壊さないよう、そして今のメンバーで戦うために。

はたから見たら撤退。けれどもこれは戦うための一歩。

自分が立ち止まることを覚えたアキは一つプロデューサーとして成長したように思えました。

 

 

 

最後には乙羽・真白ペア。そして海月・彩羽ペアでの会話が描かれていました。

 

海月さんは彩羽が声優をやっていることを見抜きそのうえで自分のもとで稽古をつけることを提案。世界的な女優のもとで演技を学べる機会に彩羽はどのような決断をするのか。

 

真白のほうはアキとの恋愛を後押しする発言。そして修学旅行で天地堂を訪れるように言われます。彩羽のいない修学旅行。真白がどのように動くのか。そして乙羽さんの狙いはなんなのか。今後に期待されられる最後でした。

 

 

 

今回は少ししか触れられなかったけれど乙羽さんと海月さんの関係。またおそらく世界的なメイクのプロであるアキの母親。この三人に過去何があったのか。ここが彩羽が声優として飛び立つ際に大きなカギになりそうなので本当に楽しみですね。

またいまだ語られないアキとオズの関係。7巻まできていまだ描かれない二人の間には何があったのか。こちらも気になります。

 

次回は修学旅行ということで彩羽は不参加になるみたいですが真白のアプローチに期待。そしてその間彩羽はどのように動くのか。

見どころが多そうな8巻は8月に発売予定。

三河先生の刊行ペースは安定しているので読者としては本当にありがたい。

でもどうか無理はしないでほしいですね。たまにはゆっくり休んでと思っちゃいます。

 

 

それでは今回はこの辺で。最後まで読んで下さった方ありがとうございます。