とうかのブログ

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今はまだ「幼馴染の妹」ですけど。1巻 感想 ネタバレあり

今回はMF文庫から刊行されている”今はまだ「幼馴染の妹」ですけど。”の感想を書いていきたいと思います。この作品は前々から表紙から連想される内容とは違うと聞いていて楽しみにしていたのでやっと手を付けれたという感じです。

 

今回もネタバレありで感想を書いていくので、まだ未読という方はご注意ください。

 

 

 

今はまだ「幼馴染の妹」ですけど。 せんぱいひとつ、お願いがあります(著者:涼暮皐 イラスト:あやみ)

 

 

 

 

それではいきます。

 

 

主人公冬月伊織は学校の人からは<氷点下男>と呼ばれ感情を表さない残酷な人間であると言われている。そんな伊織には中学進学に伴い疎遠になっていた幼馴染双原流希がいた。

ある日伊織は彼の住む町に広がる<星の涙>の都市伝説の舞台となる七河公園の丘で流希の妹双原灯火に出会う。

その次の日から灯火は伊織に付きまとうようになり。自称小悪魔系後輩、けれども実はうぶな灯火と氷点下男と言われる感情表現が乏しい伊織の2人の再開から動き出すSFラブコメ

 

 

あらすじはだいたいこんな感じです。

噂に聞いていた通り表紙のイラストからは想像できなかったラブコメ作品。

<星の涙>という奇跡的な力により起こる現象により普通のラブコメとは違った面白さがあります。この作品を読んで連想されたのが「星降る夜になったら」と「青ブタ」。SF的な現象が起こるラブコメということでこの二つの作品が浮かびました。

もちろん、この作品にはうえの二つの作品とは違う面白さがあり楽しめました。

 

 

まずは冬月伊織について。

彼は学校でも友人が少なく感情がないと少し奇異の目で見られた存在です。最初読んでいるときには伊織の態度が一貫していないように思えて少し理解しづらかったんですよね。かなりこじらせたボッチ主義の主人公かな?なんて思っていました。

しかし読み進めていくと彼の性格に関わってくるのは<星の涙>と呼ばれる都市伝説、そして流希や陽星の存在ということが分かってきます。

 

伊織自身かつて<星の涙>により自分の2番目に大切なものを失ってしまった過去を持ち。そしてその失ってしまったのは自分が助けたいと思っていた陽星の伊織の記憶。このことでさえつらいのに決定的だったのは<星の涙>の伝説で伝えられる代償となるものの条件。陽星の伊織に関する記憶がなくなったということは、2番目に大切にしていたのは他者から自分に向く気持ちのほうで。その事実が伊織から感情の熱を奪ってしまいました。

たしかにこれはなかなかのトラウマですよね。陽星をいじめから救えずに奇跡の力に頼ってしまった。これだけでもかなりきついのに、得られたものは偽りの関係で、しかも自分の本当の気持ちを突きつけられた感覚。

 

灯火との関係を築くことにより少しずつ変わっているように思えた伊織でしたが最後の最後、感情の熱がともったところでまたその火を消してしまっています。灯火の悩みは解決できたように思えますが伊織の問題はまだまだ続きそう。

 

また彼は子どものころの記憶を<星の涙>により奪われている模様。

ここから考えられるのは誰かにとって大切だったものが伊織とともに過ごした子供の頃の記憶ということで。

今のところ怪しい存在は小識ですかね。伊織の後輩ということは言われていますがそれ以外の情報が明らかに欠落していること。また遠野からの評価。それに<星の涙>について深くかかわっていること。彼女もまた何かを願いそして何かを失ったと考えられるのかなと思います。

 

あとは与那城ですかね。灯火のことを伊織が忘れなかったように、与那城もまた伊織が周囲から認識されなくなったとき思い出すことができた存在。彼女もなんらかのカギを握っているような気がしなくもない。

 

 

灯火についても少し書いていきたいと思います。

彼女は伊織に<星の涙>の使い方を聞くために接近してきたのですが、不器用なところが可愛かったですね。テンション高めで攻めるくせに返されるとすぐ日和ってしまうところとことか王道の可愛さ。

本来引っ込み思案の彼女が明るくふるまうのは流希になろうとしていたからだと分かりますが、ひと段落した後もあのキャラを続けていて個人的には嬉しかったです。

 

灯火も奇跡の力に頼った一人で、願ったのは姉の代わりに自分が死ぬこと。

序盤の明るくふるまう彼女からは想像できないつらい思いでした。姉が生き返ることよりも自分が死ぬことを願っていたのがまたつらい。

 

 

伊織が灯火の一番になることで解決を迎えた事件でしたが気になることもいくつか。

まずは<星の涙>の効力の範囲。

これは今回の話でもわかるように絶対的なものではなく、なんらかの条件によっては効果が表れないこともあるようです。ここはたぶんこの先も重要なポイントになるのか?

そしてもう一つが流希の死亡時期。これは中学のときとしか明言されていないんですが、伊織が陽星のために力を使った時期は中学2年のときとかぶっているんですよね。単なる考えすぎかもしれないですが、伊織にとって流希の存在もたしかに大切なもののはずで。そう考えるとまさか代償に......なんてことを考えてしまいます。だとしたらあまりにも残酷......

しかも流希という名前。流れる希望というと想像されるのが流れ星。間違いなく今後大きくかかわる存在。

 

 

まだまだ物語は始まったばかりでこれから謎が少しずつ明らかになっていくと思います。

こういった作品は超常的な現象の仕組みを考えることを考えるのも楽しみの一つですよね。普通とは少し違うラブコメで個人的には満足な一巻でした。

続きが気になるのでこのまま3巻まで読み進めていきたいと思います。

 

 

それでは今回はこのへんで。

最後まで読んで下さったかた、ありがとうございました。