1LDK、そして2JK。Ⅲ 感想 ネタバレあり
前回に引き続き1LDK、そして2JK。の三巻を読み終えたのでそちらの感想を書いていきます。
今回もネタバレありで感想を書いていくので、まだ未読というかたはご注意ください。
1LDK、そして2JK。Ⅲ~夏が始まる。二人はきっと、少し大人になる~(著者:福山陽士 イラスト:シソ)
ではいきますね。
今回の巻は3人の関係の終わりを強く意識させられる物語だったと思います。
今までは3人ともが頭では終わらせなければならないと理解しながらも先延ばしにしていた印象を受けました。
しかしながら今回の巻ではキャンプのときをはじめとして、三人ともが終わりを理解し、そしてそのための準備を少しずつだけど始めている印象を受けました。
奏音が和輝に料理を教え、ひまりはバイトをやめると店長に告げ、和輝も三人で過ごす最後の夏の思い出を作り。
それぞれが終わりに向かっている様子はどうしても切なく思えてしまいます。決して間違ったことをしているわけではなく、むしろ本来あるべき姿に戻るだけなんですが仲睦まじい三人を見ているとどうしても一緒にいてほしいなと思ってしまいます……
キャンプのコテージに戻るとき、夜空を見ながら語ったひまりと奏音の思い。
この関係がいつまでも続くものではないとわかりながらも、ずっと一緒にいたいと願ってしまう。三人の気持ちを想像するとかなりグッとくるものがありました。
またコテージではひまりがついに本名を明かしました。今までぼやかしていたひまりの事情についてひまりが言い出した意味はやはり終わりを強く感じているからでしょうか。イラストの仕事、そして賞をうけたときのこと。いつまでも親から逃げていてはいけないと感じたからこそひまりも決意ができたのかなと。
そして前回の巻で告白をした友梨の出番は少し少なかった印象。
それでも友梨が就職祝いに和輝をデートに誘ったところは彼女の人の良さが現れていましたね。友梨は和輝のことをずっと昔から思い続け、和輝の思いにも何となくだけど気づいているんでしょうか。友梨もほんとにいい人だから報われてほしいなと思います。
それにしても和輝はどんな選択をするんですかね。
奏音やひまりに対して大人と子供だからと何度も言い聞かせているのは、いわばそのことをなくしたらそういう目で見てしまうわけで。親目線というところもあるでしょうが、やっぱりあの二人に対して特別な感情を持っていることは間違いないと思います。
それと同時に友梨に対しても、彼女がほかの人に接客をしているときにもやもやを感じていて和輝が気にしている様子はあります。3人ともにそれぞれ特別な思いがありそうなので今後の展開がどうなるのか非常に気になります。
恋愛以外でも最後に大きく展開が動きました。
まずは奏音の母親、翔子さんが突然姿を現しました。和輝と話している様子をみるとこれまで想像していた印象とは異なり、心が追い詰められて行ってしまった行動だったようでした。親としては間違いなく正しくない行動ではあるんですが、親になってもヒトはヒトなんだと思わされなくもないですよね。大人にだって弱さはあり、今回の一件はその弱さが完全に露呈したために起こってしまった出来事。ただ気持ちはわからなくはないけど、やっぱり奏音のことを考えるともっと大切にしてあげてほしかったと思いますね。
そしてひまりのほうにも動きがありました。
前回の巻で登場した女性が美実という人物であり、剣道の道場で知り合ってからひまりと仲良くしていたお姉さんだということが明らかになりました。
そして奏音とひまりが和輝の実家に向かう途中、美実と遭遇してしまいました。美実はひまりの気持ちをどのように受け止めて探しにきていたかはわかりませんが、あまり悪い人には見えないので家に帰るひまりの後押しをしてくれる存在になってほしい。
また美実の登場により問題になるのは和輝がひまりをかくまっている事実。奏音はとっさにひまりは自分が預かっていたと言い放ちましたが今後どうなっていくのか。
今回の巻は少し切ない空気が漂う内容になっていましたが笑えるポイントもいくつか。
個人的には佐千原さんのくだりはかなりクスっとしてしまいました(笑)今までの様子から自分も和輝に気があるのでは?と思っていたのでまさに和輝とおんなじ気持ち。そっちかい!(笑)
そんな切なくも笑えるこの物語も次の4巻が最後。少し寂しくはありますが続けて読んでいきたいと思います。
それでは今回はこのへんで。
最後まで読んで下さった方、ありがとうございました。