さよなら異世界、またきて明日 旅する絵筆とバックパック30 感想
どうも。久々の投稿になりましたが早速感想について書いていきます。
さよなら異世界、またきて明日（作者：風見鶏先生 イラスト：にもし先生）
あらすじ
その異世界は滅びかけていた。人が結晶となり消え、白い砂漠に呑まれゆく中で、現代からの迷い人・ケースケは元の世界に帰る方法を探し求めて、蒸気自動車で旅をしている。
あるとき成り行きで、道中に出会ったハーフエルフの少女・ニトの”探し物”を手伝うことになり始まったちぐはぐな二人旅は、生き残った人々との出会いと別れを重ねていくうちに、少しずつ変わり始めていく。やがて、あらゆる問いに正しい答えをくれるという＜魔女＞のもとを訪れた二人は、それぞれの”探し物”について尋ねようとするのだが――！？
背表紙のあらすじから引用
ネタバレなし感想
崩壊した世界で生き残った人達との出会いを繰り返すケースケ。異世界ものには戦いのイメージがあったけど、この作品は滅びた世界で取り残された人々とのかかわりを丁寧に描いた作品でした。それぞれの登場人物が抱える思い、滅んだ世界に何を求めて生きるのか、ケースケとニトの出会う人々の切ないけど心温まるストーリーがとてもよかったです。またさよなら異世界、またきて明日というタイトルの意味もすべてを読み終わった後にはとてもしっくりくるタイトルでした。この作品を通して感じることができる、人とのつながり、愛情そういったものを丁寧に描きとてもきれいな物語だと思いました。
※ここからは内容に触れていきます。
ネタバレあり感想
キャンプに行く途中、突然異世界に転生してしまった主人公。そんな主人公のケースケが転生したのは人類が滅んだ世界。この巻をよんでもケースケが転生した理由は語られませんでした。またこの世界では異世界人というのは特別珍しいものではないみたいでそういった理由についてもいつか語られるのが楽しみです。
でてきた人物全員いい人でそれぞれがケースケとニトに対して親切に接してくれていましたが、中でも印象に残ったのはジャックさんでした。彼が橋のところで語った話はこの世界に生きる人すべてが共通して持っているものだと思います。希望の見えない世界で足を止めざるを得ない彼の気持ちはとても心に刺さるものがありました。
そんなジャックの父がケースケがトラックで見つけた地図の持ち主だと分かったときは、ジーンとなったしそのあとのジャックの前を向いた話し方への変化が素敵でした。
魔女（占い師）との出会いでニトに関することも少し明らかになりました。ニトの病気は異世界人とこの世界の人との間に生まれたことが原因であり、またもや異世界人の存在が重要なキーワードになりそうな予感。黄金の海原が存在するのか、黒い服の男、魔力崩壊はなぜ起きたのか、いろいろな謎がのこされこれからどうのような展開が待っているのかとても楽しみです。
まとめ
崩壊した異世界を舞台にした物語。この崩壊した世界だからこそ、そこに生きる人々の思いがより美しく描かれている物語です。人とのかかわりの大切さ、つながるからこその希望。とても心温まるストーリーなので気になる方はぜひ一読を。
