日和ちゃんのお願いは絶対 2 感想 ネタバレあり
今回は電撃文庫から刊行されている日和ちゃんは~の二巻を読み終えたのでそちらの感想を書いていきたいと思います。
今回もネタバレありで感想を書いていくので、未読の方はご注意ください。
日和ちゃんのお願いは絶対2(著者:岬鷺宮 イラスト:堀泉インコ)
「お願い」の力について知り、それでも日和といることを選んだ深春。日和は深春の好意に喜ぶ一方で、深春の幼馴染である卜部に対して嫉妬をしてしまい……自分の醜い感情を知ってしまう日和は、それと同時に世界の混乱に天命評議会としての対応も迫られ葛藤することに。
今回の巻では天命評議会という大きな組織を独裁で導く大人な日和と、真剣に恋に悩み苦しむ等身大の高校生の少女としての日和の様子が描かれていたと思います。
また2巻で描かれていた情勢は、今現在コロナによって起きている状況とも重なりとてもフィクションとは思えない内容になっていたのかなと個人的には思いました。
全体としては読みやすく、「お願い」というSF要素を含めた新鮮な恋愛物語を楽しめたと思います。
それではここからは少し焦点を絞って書いていきますね。
まずは卜部について。彼女は深春の幼馴染というポジションで登場し、1巻でも仲のいい男友達みたいな描かれ方をしていました。
1巻を読んだときには、うまく自分を表現できていない少女という印書を受けていましたが、2巻をよんでがらっと印書が変わりました。
日和と付き合ったからといって深春との関係を変えるつもりはない。彼女には確かに深春と積み上げてきた思い出があって、そしてなにより好意があって。
日和のお願いにより引き出された卜部の言葉がどこまでが本心なのか。最後の日和との会話を見る限りは、あれはお願いによって卜部の抑えていた思いがあふれたととらえるべきかな?
そしてそんな卜部と深春の様子を見ることになった日和の気持ちもすごくわかる。
自分が好きな人を自分より理解している人がいて、その人の強さを知ってしまったらどうしようもない気持ちになってしまうだろうなと。
特に日和は天命評議会という世界を変えてしまうほどの力を持っていて、自分の恋愛事情と一緒に世界のためにも悩まなきゃいけない。
この作品のポイントともなる要素ですけど、やっぱりこの「お願い」の能力を高校生が持つことはすごく残酷だなと感じますね。
深春といる時はただの高校生なのに、世界の命運を分ける決断を自分一人の意思でしなければいけない。感情移入するとかなりつらい。
日和一人で決めるという天命評議会の在り方。そのいびつな組織の在り方の理由もまた残酷ですよね。世界を支配できる力は、絶対に政治の道具として用いられてしまう。だからこそ日和一人がすべてを背負わなければいけない。
日和がほかの高校生と比べて大人ならまだしも、日和が描く理想はやっぱり高校生のもので。いつか崩壊するだろうこの体制に読んでてすごく怖さがありました。
他には牧尾さんの妹の登場。1巻で深春をかばって死んだ牧尾さんの大切にしていた妹が登場するとはかなり驚きました。彼女の立ち位置や考えは今後も重要な要素になってきそうで、今後の動きに期待ですね。
最後の土砂災害のところで時間が止まったようになったこと、また日和の能力が覚醒したこと。そして最後に書かれた不穏な文章。今回は恋愛の面では解決しましたが、天命評議会については謎が深まるばかりでした。この先どう動いていくのか楽しみです。
それでは今回はこの辺で。
最後まで読んで下さったかたありがとうございました。